ホーム > Uncategorized > 池澤夏樹氏「静かな大地」、読了。

池澤夏樹氏「静かな大地」、読了。

アイヌに対し根拠のない劣等民族のレッテルを貼り、彼らの土地や自然、神々までも奪い、踏みにじってきた和人(日本人)の卑劣さ・傲慢さに憤りを覚えながら最後まで一気に読み切った。

歴史のある時点で和人とアイヌの立場が逆転していたら今の日本はもっとましな国になっていたのではないだろうか。
力と恫喝と感情が支配する国ではなく、言葉とチャランケ(議論)と理(ことわり)により導かれる国。

それはともかく。

主人公たちに待ち受けていた運命は悲劇的なものだったが、この物語を読んでいる間、僕はずっとアイヌの心をすぐ隣に感じて幸せな時を過ごすことができた(実は今もその余韻に浸っている)。

それこそ池澤夏樹氏の面目躍如たるところだが、決してそれだけではなく歴史小説としての読みごたえも十分。同氏の代表作のひとつであることは間違いない。

カテゴリー:Uncategorized
  1. まだコメントはありません。
  1. No trackbacks yet.

コメントを残す