池澤夏樹氏「静かな大地」、読了。
アイヌに対し根拠のない劣等民族のレッテルを貼り、彼らの土地や自然、神々までも奪い、踏みにじってきた和人(日本人)の卑劣さ・傲慢さに憤りを覚えながら最後まで一気に読み切った。
歴史のある時点で和人とアイヌの立場が逆転していたら今の日本はもっとましな国になっていたのではないだろうか。
力と恫喝と感情が支配する国ではなく、言葉とチャランケ(議論)と理(ことわり)により導かれる国。
それはともかく。
主人公たちに待ち受けていた運命は悲劇的なものだったが、この物語を読んでいる間、僕はずっとアイヌの心をすぐ隣に感じて幸せな時を過ごすことができた(実は今もその余韻に浸っている)。
それこそ池澤夏樹氏の面目躍如たるところだが、決してそれだけではなく歴史小説としての読みごたえも十分。同氏の代表作のひとつであることは間違いない。
AirPlay対応小型軽量ヘッドホン希望!
いくらtouchのファイルをApple Lossless(ALAC)にしても、Bluetoothで非可逆圧縮されて飛ばされてたんじゃなんの意味もない。
可逆圧縮(ALAC)形式でWifi転送される
AirPlay対応で、ノイズキャンセラー機能も付いた小型軽量ヘッドホンの発売が待ち遠しい。
ポール・オースター『孤独の発明』読了。
ポール・オースター『孤独の発明』読了。
当時すでに詩人として活躍していた作者の散文デビュー作。
稀代のストーリー・テラーと称賛される作者だが、ここに描かれているのは、孤独に向かって加速度的に収斂していくひたすら絶望的な(にも拘わらず読者の心を捕らえて離さないスリリングな)いつもの展開ではない。
描いたのは、その死をきっかけに父について何か書き残そうとする苦闘の果て、その父が「いつもそこに存在していなかった」理由をついに知る作者の姿であり、古今の哲学書や古典さらには旧約聖書からの引用を『記憶の書』に淡々と書き留めていく作者の姿である。
この「書き留める」作業により作者がたどり着いたある「真理」。それを見失いたくないがゆえに、作者は孤独と絶望をテーマにした作品を永遠に生産していくことになるのだが…
それはともかく、単調で難解だと敬遠されても仕方がないこの「物語」ですら一気に読ませてしまう力量は、さすがオースター!と改めて脱帽せざるを得ない。
オースター・ファンにとって必読の一冊であることは間違いないが、そうでなくても読んでみて損はないと思う。作者が見出だした「真理」にはきっと共感できるはずだから。
通勤のお供がクラシック音楽から海外文学に完全シフト。
夏バテとともに通勤のお供はクラシックから海外文学に完全シフト。
ちなみに今一番のお気に入りはP.オースター。
とは言え、オーディオ各社のALAC対応ニュースを受けリッピング・エンコードをFLACからALACに切り換える決心が着いたのを機に文庫本+i Pod+HP通勤への再シフトを模索中。
「メリダとおそろしの森」
家族で「メリダとおそろしの森」を観てきました。
さすがPIXAR!としか言いようのない完成度の高い作品で、ハラハラドキドキの連続。そして最後はしっかり泣かせてくれます。娘もカミさんも僕も泣きました。
主人公のメリダもですが、同じくらいメリダのお母さんが良い演技を見せてくれます。心憎い演出ですが、あざとさは微塵もありません。
ほぼ全編、スコットランドの森と夜を表現した暗い映像で描かれていますが、それが物語に緊張感を与えています。3D(3D初体験でしたが)も絵に自然な奥行きを感じさせる控えめな使い方で、違和感や異物感はありませんでした。
このテイスト、好きです。また観たい、また劇場で。
ボッシュ+アーへン響のブルックナーが素敵すぎる!
ボッシュ+アーへン響のブルックナー5番、7番が素敵すぎる!
弦の音色は限りなく美しいし、金管のいわゆる『咆哮』も上品でうるさすぎないし、ホールがいいのか録音技術なのか、とにかくすべての音が澄んでいて耳に脳に心地好い。
これはもう、ブルックナーはすべてボッシュで揃えるしかない!
…
と言うわけで、早速ボッシュ+アーへン響のブル4とブル6とブル9をHMVに注文。
4番は第1稿だし、9番はフィナーレ付きだし、その意味でも楽しみ!
頭痛とジャスミン茶とシューリヒトのブルックナー9番。
頭痛6日目。
4日間薬を飲み続けても一向に改善されないので昨日から薬絶ち。
多少は効くかも、の淡い期待を込めてジャスミン茶(冷えたPETだけど)を飲みながらシューリヒトのブルックナー9番を聴いてリラックス。
スケルツォのテンポが脳に心地よい。
今日でこの世界が終わるというのであればそれはそれで一向に構わないいやむしろ完璧に消滅してほしいとまで思う絶望感。
今日でこの世界が終わるというのであればそれはそれで一向に構わないいやむしろ完璧に消滅してほしいとまで思う絶望感。
ジンマンのマーラーはかなり良い。特に癒しの7番は!
ここ数日、ジンマンxチューリヒ・トーンハレのマラ7ばかり聴いています。最初は謎めいた旋律に不安をかき立てられるようで嫌でしたが、次第に深い森にいるような落ち着き・安らぎが得られるようになり、今や睡眠導入曲として手放せません。
CD、というよりFLACファイル鑑賞系クラシック音楽ファンの憂鬱。
クラシック音楽ファンにもコンサート派(ライヴ派)だけでなくCD鑑賞派(オーディオ派)が少なからず存在することを知り、自分のスタンスに多少は自信が持てた気がする。
もちろん、どちらか一方に偏らずに自分なりのバランスで楽しむのが理想の姿だと思うけれど、それが許されない現実もあり。